2013年7月20日土曜日

変な意地を張らないで。2.

2.変な意地を張らないで。

少年は、悔いていた。世界は一変してしまった。何をしていても、何を考えていても、寝ていても、起きていても、思考の基底部分に『後悔』と深く烙印されているような感覚。ずっしりと、頭を重くして、そしてギリギリと締め付けるような感覚。肩から首、頭頂部にかけてピリピリして、眼球が指で押し込まれるような鈍い重み、痛みがある。何を考えても、気分は決して晴れない。

去年使っていた教科書と今年の教科書がごっちゃに置かれている勉強机。べつに復習をするつもりではない。ただ適当に並べていて、間にはマンガが挟まっている。壁に向かって座っていても気分は晴れないが、外に出る気もしない。ゲームの内容なんて頭に入ってこないのだが、ただ、なんとなく携帯ゲーム機を開き、弾を避け、そして敵戦闘機を撃墜していた。

そうしながらも、ずっと彼は思っていた。心の中で、繰り返していた。混濁し、流れ、留まり、淀み、繰り返す心の声。

あの時、どうして僕は一緒に帰らなかったのだろうか。嘘をついたのだろうか。クラスメイトからひやかされる?何か起きるとすれば、それだけのことだったのかも知れないのに。変な意地を張らないで、一緒に帰れば良かったんだ。

あの日、コンビニに寄れば良かった。それで、次の日の朝のことが何か変わった訳じゃあないかも知れないが……それでも、僕の彼女との思い出は、一緒にアイスを食べた翌日に彼女が死んだということになり、意地を張って一人で帰ったのが最後……ということではなかったハズだ。たらればの世界。それで何かが変わった訳ではないだろう。だからこそ、悔いが残るんだ。

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