2013年7月20日土曜日

怖かったから式だけで帰ったんだよ。 3-1.



人の身体のことは私は詳しくないが、人間の身体が生きていることは奇跡的なことらしい。勿論、確率の意味では、彼女のような死に方をする人の方が少ないのだが、夜寝て朝に目が覚める。起きた瞬間に意識が昨日と連続する。精神の流れに関しても、色々と考える部分はあるのだが、それは今は省略する。ずっと省略するかも知れない。

1秒前の肉体と、1秒後の肉体が同じように生きていることが当たり前のように思うが、何かが一つ狂えば、3秒後には死んでいるということは、普通にありえることだそうだ。例えば、脳や心臓の重要な箇所で、数百に満たない数であっても細胞の粒が、なんらかの原因で活動が止まれば死につながる。

そのようなことが起きない事が奇跡的であり、原因が分からないままに死んだ少女は、多くの人間に瞬間ごとに起きている奇跡が、何故かその夜には起きなかった。なんでそんなことをするのか?今度、会ったら文句を言ってやろうと思います。二人の話し合いは続いている。

「だってさ、昨日がお葬式じゃないか。なんの前置きもなくスルって、現れて。俺はさ、怖かったから式だけで帰ったんだよ。だから、その、もしかしたら生きているとか。お棺の中にいたけど、実は生きているとか、生き返るとか、そんなことを考えて、でも夜になって、そんなの全部、無理だって分かって……。」

「……もうちょっと、間をおいた方が良かったかな?」

「いや、そういうことじゃなくて……じゃあ、死って何?という感じ?」

ブログ アーカイブ

新着ブログ

ZenBack