2013年7月20日土曜日

愛が地球を救う物語でもある。 1-1.

1-1.愛が地球を救う物語でもある。


「一緒にご飯は食べれる?」

「食べれるよ。さっき食べたじゃん。」

「でも、冷たいモノと熱いモノは違うじゃん。すり抜けたりしない?」

「食べれるよ。食べなくても平気だけど。」

ぐぅ。と音がなる。

「あ、あれ?」

「……お腹なるんだね。」

音は空気中の振動、波、音波であると考えると、その音が鳴ったのは、いささか不思議ではあるのだけど、確かに「ぐぅ」という音が鳴ったのである。

「……ファ、ファミレスとか行く?何が食べたい?」

「うどん定食とか?」

「うどん……。」

「あ、別にアダ名とかでじゃないからね。」

「あ、いやそうじゃなくて、幽霊がうどんを食べるって……。」

そう。この物語は、幽霊になってしまった彼女と、その死を悔いる少年との悲しみの物語でもある。多分、きっと悲しい。そして、愛が地球を救う物語でもある。きっと救う。多分、救う。おそらく。うどんを食べる物語ではないと思う。さらに遡ること一ヶ月前。


田んぼの真ん中に立つ中学校の登校口で一人の少女が待ち伏せをしていた。

「あ、暑くなってきたからさ、久しぶりにコンビニでも寄ってかない?」

「……。」

「アイスでもおごるよ?」

「……今日はいいや。その、ちょっと約束とかがあるし。」

「そうなの?」

「吉田の家に寄ってくんだ。じゃあ。」

その日、二人は別々の道を通って下校することになった。そして、その三日後。

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