2013年7月20日土曜日

風説 壱。大きく違ったのは。 15.→16.

15.風説 壱。

一人で四つも買うなんてアイスが好きなんやのう。丸坊は。

そろそろ晩ご飯にしましょうか。今夜はヒジキですよ。

おお。じゃあ、今日は一杯やりますかな。

可愛らしいカップルのお客さんは、もう帰ったの?一人二つなんて食いしん坊な子達ですね。


見えるってことは棺桶に足突っ込んでないかな。大丈夫かな。ちょっと毒を吐いてしまいました。すみません。神様より。


16.大きく違ったのは。

神社の境内にあるベンチで二人は座っていた。アイスの棒が四本。包装のガラも四つ。食べ終わった後に、黄昏て呆けているようだ。

「美味しかったね。」

「うん。あいすまんじゅうって美味しいな。初めて食べたけど。」

「でしょ?」

二人は言葉には出さなかったのだけど、私は二人が考えていたことが分かる。二人して「な、何も起きない……。」と考えていた。雪乃が死ぬ前日にできなかったこと。アイスを食べる。それは、達成された。勿論、東丸と一緒に食べる……という意味である。それだったら、「未練は何か?」と東丸は考えていた。よくよく考えれば、それは東丸の悔いであり、雪乃の未練かどうかは分からなかった。ただ、当の雪乃も自分が死亡する前日のことを考えてみて、アイスが思い浮かんだ。二人の頭の上に大きな『?』が浮かんでいるように見えた。しかし、東丸は意を決したように、やはりスクリと立ち上がり言った。

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