2013年7月21日日曜日

私の出番でしょう。22.

22.私の出番でしょう。

夏休みにカノジョとカレが出来たリア充カップル。綿貫東丸も、最初は浮かれていた。勿論、先の先を考えれば、浮かれている場合じゃないのだが、「よくある話」。具体的に何をする訳でなくても、その事実だけでウキウキした。その日から、登校も、下校も、なんでもないオシャベリも全てがデートなのである。英語で日付という名前で知った単語を別の意味で使う日々が来たのである。

しかし、彼女。春野雪乃はユーレイ。幽霊の彼女が出来たから、四六時中一緒で、プライベートなんてありゃしない。学校に行っている時とかはともかくとして、せめて、寝る前は一人でいたい。寝る前は特に一人でいたい。女の子は、男のそういう部分をまだ知らない。これは、私の出番でしょう。なんだかんだで、しばらく幽霊との交際が続いたのだけど、ある日の朝……。

「……あれ?」

目を覚ますと雪乃の姿がなかった。いつもは、彼女の方が先に起きて、散歩していたり、夏休みに入る前は学校の準備を手伝ってくれてたり、ふわふわと二度寝をしていたりしていた。念のため押し入れをノックしてみる。返事はなく、中にも気配はない。

いつか来る日が、今日来たのか……と東丸は思ったが、実のところ、私の仕業です。もう既に知っている人も多いと思うけど(知ってないとおかしい)、まぁ、彼の願いを機械の神なりに叶えてみました。

「ふわぁ~あ。よく寝た。」

雪乃の声がする。途端に東丸の表情はぱっと明るくなったのだが、それを雪乃に見られると恥かしいのですぐに抑える。なんだいたのかと、ほっとする東丸。

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